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『ハロー、妹。元気かい?』
子供は風の子と言うでしょう。雪が降って庭駆け回る準備は完璧です。
『ああ子供っていう自覚はあるんだ……。そういえば君、こっちきてからずっと何読んでるんだい』
高瀬の倉にあった資料です。最近、また未開拓領域が見つかったようなので。
『なんで倉に領域って単語がつくんだよ。君んちにはダンジョンでもあるんかい』
ゴーストは出てきませんよ。下に広がっているのは確かですけども。
『あそう。へぇ。んでそれ面白いの?』
興味深いです。新大陸や暗黒大陸に関するものまで手広くやっていたようですし。飽きませんよ。
『見てるだけで眠くなってくるよアタシは。まるで異世界の文字だ』
そうですね、そうとも言えるかもしれません。これは世界結界後に記されたものです。私にとって、それは異世界と言えなくも無い。非常識、という立場にあっては、日常と言うのはファンタジーなのかもしれません。
『アイアムファンタジー』
お黙りなさい。まぁ、それはいいのです。非日常と日常の境目は、漠然としている。それをどう受け止めるかと言うのは、時々によって変わるでしょう。
気になるのは、なぜそういう境界ができたのか、ということなのですよ。
『ご先祖様がやったことに何故と問うのかい、若いの。それこそ、君の好きな言葉で言えば、考え方次第、だろう』
ですから、その考え方を考えているのです。何故、世界結界なるものを張ったのか。何故、来訪者を拒んだのか。何故、そのような事態に至ったのか。何故、世界はそういう状態であったのか。
私はそれが知りたい。どうしても知りたいのか、と言われれば言葉を濁すでしょう。しかし、それが濁す必要の無い言葉にとって必要かもしれないとあれば、私は憂鬱を感じずに進められる。
『ごめん寝てた。なんだって?』
今日は肉じゃがでも作りましょうか、と言いました。
『すばらしい! 美奈子さん、ぜひご同伴』
幽霊に口なし。私が美味しく糸こんにゃくを食べているのを、指をくわえてみてるがいいでしょう。
『ひどい。むごい。鬼だ。コイツから目上を敬う気概が感じられない』
目上だったんですか貴方? それはいい事を聞きました。
『おっとっとっとっと。そろそろ時間だ。じゃ、きみに死と隣り合わせの青春があらんことを。バ-イ』